第142回国会-衆-外務委員会-14号 1998年05月22日
 
○中馬委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玄葉光一郎君。


○玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。

 本日は、一つはインドネシア情勢について、もう一つは周辺事態法関連の問題、そして、時間がありますれば核実験の問題に触れさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、インドネシア情勢でございますけれども、昨日、スハルト大統領が辞任をしてハビビ副大統領が昇格をいたしました。三十二年間にわたるいわばスハルト体制、ある意味で経済成長をもたらした功の部分と、それと同時に、政治的な矛盾あるいは経済的な矛盾というものをある意味で抱えてきた罪の部分のスハルト体制だったと思いますが、そのいわば罪の部分に対する声が国民からあふれ出て、その拒否の声に抗し切れない、そんな状況だったんだろうなというふうに思いますけれども。

 さて、外務大臣、今回のスハルト大統領の辞任表明とハビビ大統領の就任によって、インドネシアの国内の情勢は安定化に向かうのかどうか。また、インドネシアの政治改革並びに経済改革はどのように進むと見通しておられるか。その見通しを立てるに当たって一つの大きなポイントであったのは、無論、新しい内閣がどんな顔ぶれになるかということであったと思いますけれども、その新しい内閣の顔ぶれももう既に発表されたかに聞いておりますので、それも踏まえて、外務大臣としてあるいは外務省としてどのようにごらんになっておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。


○小渕国務大臣 まずもって昨二十一日、スハルト大統領が辞任をいたしまして、ハビビ副大統領が大統領に就任いたしましたが、今回、流血の事態を招くことなく憲法の規定に従って政権交代が実現いたしたことは、評価に値すると思っております。

 ハビビ副大統領は、政治経済改革の実施とクリーンな政権を目指すことを言明いたしております。これらの改革によりまして、国民経済の回復と民生の安定を実現していかれるよう、心から期待をいたしておるところでございます。

 今後は、これから申し上げますが、新しくできた新内閣に対しまして市場の反応等がどのようなものになるか注目される点があると考えております。我が国としては、インドネシアの国民の改革努力に対して引き続き支援を惜しまない考え方でございます。

 そこで、本日十時三十分、日本時間十二時三十分ごろでございますが、新内閣の閣僚がハビビ大統領より発表されました。新内閣は、改革・開発内閣と名づけられておるようでございますので、そういう内閣にふさわしい政治をこれから断行されるのではないかと思っております。

 その内閣の中では、ギナンジャール調整大臣、ウィラント国防治安大臣兼国軍司令官、アラタス外相等が留任をいたしまして、新たにスビヤント大蔵大臣、ラメラン商工大臣が就任をいたしたということでございます。特に経済関係におきましては、経済チームとしてギナンジャール大臣がこれをリードされるやに聞いておりますので、ぜひ経済の復興等につきましても成果が上がることを期待いたしております。

 いずれにいたしましても、この改革・開発内閣のもとで改革が着実に実施されることを、政府としては期待をいたしておるところでございます。


○玄葉委員 関連して、私も本会議で、顔ぶれを実は聞いておりません。ただ、今回の顔ぶれを見るに当たって、スハルト色というのがどのぐらい残ってどのぐらい除かれるのかというのが一つのポイントではないか、あるいは幅広い人材が登用されるかどうかというのがポイントではないかというふうに思っておりましたけれども、その点の事実関係と、外務省としての見解といいますか、どういう内閣になったと、短時間でありまずけれども、どういうふうに分析されているかお聞かせをいただきたいと思います。


○小渕国務大臣 今御答弁申し上げればよかったわけですが、いわゆるスハルト大統領系と言われる方でございまして、その中で、ボブ・ハッサン商工大臣、あるいはファド・バワジール大蔵大臣、それからトゥトゥット社会大臣はそれぞれ閣外に去ったということでございます。

 それから、いわゆる改革派といいますかそういう方々がどのような形で入っているか。全閣僚名簿を点検しておりませんが、それぞれの閣僚についての、今そういうことで、他の閣僚の色分けといいますかそういうことにつきまして、わかり次第御報告させていただきたいと思います。


○阿南政府委員 既に外務大臣から御答弁ございましたように、新内閣でございますから、どういう傾向かというようなことを私どもから申し上げるのもいかがかと思いますが、ハビビ新大統領は、クリーンな政治とかIMFの経済構造改革のプログラムをきちんとやっていく、そういうことを昨日の、短い演説でございましたけれども、所信の中で述べられておりました。

 そういう線に沿って、大臣からもお触れになりましたギナンジャールさんとか強力な経済閣僚が残っておられる、またスハルト大統領に近い方という意味では、長女のトゥトゥットさんという方が典型的な例かと思いますが、彼女は閣外に去ったというようなことで、昨日ハビビ大統領が表明されましたようなラインで全体の内閣ができているのではないかなと当面判断しております。


○玄葉委員 それでは、先ほど大臣の方で、我が国としては引き続き改革努力を支援していくということの表明があったわけでございますが、それは具体的に何をどのように支援していくおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。


○小渕国務大臣 当面は、新しくスタートするハビビ大統領のもとにおける新内閣の政策に対しましても、これからいろいろ御相談もあろうかと思いますから、日本としてできることはいたしていきたいと思いますが、従来からIMFと協調いたしまして、何はともあれ経済の安定ということが大切なことと心得て、このことは継続して日本としては援助し協力をしていきたい、このように思っております。


○玄葉委員 確かに、民間の債務の返済交渉を促進するというのが一つの日本の役割なのだろうと思いますが、もう一つ、今おっしゃったようなIMF、後で少し触れさせていただきたいと思いますが、そしてもう一つは、この際ODAのあり方についても考えてみてはどうかというふうに思っております。

 実は、私はかねてから、去年の何月だったか忘れましたけれども、ある委員会で、インドネシアへの援助というのがどうも既得権益化しているようですねという指摘を、去年のたしか五月ぐらいの段階だったと思いますが、させていただいた経緯がございます。そして、これはたしかことしの三月、橋本総理がインドネシアに行かれる前の段階で、たしかこの委員会で私は、インドネシアに対するODAをそろそろ見直しをしていって、特に、こういう社会不安が起きている状況にあっては、貧困対策とか、農村対策といったそういう社会不安にいわば直接撃ち込むようなODAを真剣に考えたらどうかというようなことを申し上げたわけでありまずけれども、この機会にインドネシアに対するODAのあり方を見直しをしていくつもりがあるかないか、お伺いをしたいと思います。

○小渕国務大臣 インドネシアに対しましてのODAの供与につきましてでございますが、新内閣が誕生したから直ちに我が国の政策を百八十度転換するというようなことはできにくいのではないかと思います。

 インドネシアとは、歴史的に、経済的、政治的にも密接な友好関係にあること、また我が国の海上輸送にとっても重要な位置にあり、石油、ガス等の天然資源の供給国となっていること等、引き続き最重点国の一つであるという認識はそう変化できるものではないというふうに考えております。しかし、ODAにつきましては、さらにこれからの政権の動き等も注目しつつ、常に検討していかなければならない課題ではあると思っております。

○玄葉委員 私は、インドネシアに対して援助をするなと申し上げているわけではありません。地政学的にもインドネシアは日本にとって大変大切な、大事な国だというふうに思っております。

 問題なのは、援助の中身をこの機会にしっかり見直しをする。これはきょうの新聞なんかにもありますように、確かにファミリービジネス、いわゆるスハルトのファミリービジネスを増長させたという側面は私は否定できない側面としてあるというふうに思います。もちろん、私は、インドネシアに対する援助がすべて悪いなんということを申し上げるつもりはありません。インフラ整備も、当然一定のインフラ整備は必要でございます。ただ、重点をインフラ整備からいわゆる農村とか貧困対策に移していくべきではないですかということを申し上げたいわけでございます。

 今申し上げたこともお聞きしたいのですが、それと同時にもう一つお尋ねしたいのは、このODAのカードを使ってこの機会により政治改革、この場合でいえば民主化ということになるのでありましょうか、自由とか人権とか民主主義、そういった政治改革を進める一つのカードとして、今までよりは使って外交政策を行っていくべきではないかというふうにも感じますけれども、その点いかがでありましょうか。


○小渕国務大臣 今委員の御指摘につきまして、一点につきましては、九七年、九八年の援助につきまして、その中で、円借も、特に社会的な弱者救済や人材育成、失業者対策などにシフト、移すというわけではありませんが、そちらの方に非常に注目しつつ、援助の方向を向けて努力をしておる点があると思っております。なおこういつた点について、構造改革の努力を支援するような形での援助を考えていかなければならないというふうに思っております。

 それからもう一点、ODAをいい意味で、政治改革を行う姿勢というものを理解しつつ考慮したらどうかというお尋ね、かつ御意見かと思います。

 この辺は、それぞれ、その国の政治に対して我が国がどの程度までアドバイスをできるかという点についてはやはり十分留意をしなければならないのではないかと思っておりますが、そういった点を含めまして、今後の政権のあるべき姿というものが、これから問題があるとすれば、そういった点について我が国として友情あるアドバイスができるようなことは考えていかなければならないのではないか、このように考えております。


○玄葉委員 実際にODA大綱にも実はそういうことが書いてあるわけで、私は、この政権交代というものを機に、より突っ込んだインドネシアに対する我が国のODAのあり方の見直しというのをぜひ考えていただきたい。ぜひ一考していただいて、インドネシアの政治改革あるいは経済改革につなげていただきたいというふうに考えているところでございます。

 それと、先ほど少し触れさせていただいた一MFの問題も、これはたしか、外務大臣は覚えておられるかどうかわかりませんが、この場でこれも三月ぐらいの時点で、IMFのコンディショナリティーが問題ではないか、つまり、ラテンアメリカの、メキシコ風のIMFになっていて、実際はファンダメンタリズムは違うと、経済の議論を少しだけあのときさせていただいたわけでありますが、それはもうハイパーインフレと莫大な財政赤字を持ったメキシコとインドネシアが全く同じような経済改革案になるということ自体が、やはりちょっとおかしいよねという話を実はさせていただいて、この問題については、日本がインドネシアの実情を踏まえて、まさに友人として、実情を踏まえてIMFを先頭に立ってリードしていく、修正を迫っていくということをしたらどうかということを
、実は三月の時点で申し上げていたわけでございます。

 どうも今回、その後の経緯を見ていますと必ずしも、うまくIMFが修正されたかというとそうなっていない。何かサミットなんかの報道を読むと、コール首相が、たしか、IMFが求めた経済的な忍耐がインドネシア国民をたたきのめしていると発言したとか、あるいは、私はこれは極めて正しいのだと思うのですけれども、おととい、五月二十日、大蔵省の外国為替等審議会アジア金融・資本市場専門部会、部会長が伊藤一橋大学教授でございますが、この部会で、三月に私が申し上げたことをまさに指摘していて、はっきりIMFの対応を批判しています。改善策の手順、期間が性急すぎたことで問題を複雑にした、IMFは、国の経済政策の歴史とか社会的制度に配慮すべきだということで、はっきりと実は指摘しているわけです。

 これからどんな政権ができようとも、ある意味では、混乱を収拾していくためには、あるいは軟着陸させていくためには経済の復興というのが大切なわけで、そのときにはやはり経済改革のプログラムについて、IMFの今のプログラムがいいのかどうかということについて日本はよく考えて、出資金二番目、理事も出しているわけでありまして、ここは先頭に立ってリードしていくべきだというふうに私は思っておりますが、いかがでございましょう。これは大蔵大臣に聞いた方がいいのかもしれませんが、お答えになられる方がいらっしゃれば、外務大臣等々、お願いしたいと思います。


○阿南政府委員 ただいま御指摘のように、五月四日のメダンの騒動というのはガソリン料金の値上げから始まって、それはもとはといえばIMFが補助金をやめなさいということから値段を上げざるを得なかったという、その辺が批判されている面は確かにございます。

 ただ、IMFのインドネシア全体に対する経済構造改革プログラムというものは、先生先ほど御指摘になられました人権とか民主主義とか、そういうものもある程度踏まえて、現在のインドネシアの経済構造の中に独占的な部分がある、そういうものを解消していかなければいかぬ、貧しい人たちに経済発展の果実が均てんしていかなくちゃいかぬという基本思想もあるわけでございます。ですから、恐らく根っこの方、基本的な処方せんは方向としては間違っていないのだろうと思います。ただ、確かにラテンアメリカに使われた処方せんがアジアで通用するかというような議論もございます。

 そういう中で、橋本総理が三月中旬にインドネシアに行かれてスハルト大統領と会われて、ぜひIMFと合意したプログラム、このラインで経済改革をおやりなさいということを言われると同時に、IMFの方にもインドネシアの国情に合ったプログラムをさらに考える必要があるということを申し入れをしているわけでございます。

 その直接の結果がどうかはともかくとして、第二次の合意では、食糧調達庁というようなものはしばらくは残す、これは、一万七千も島のある国で、ある程度は中央が見なくては全部に行き渡らぬこともあるだろうというようなことで、少しそういう面が加味されたということもございますし、今後もIMFのいろいろな施策についてはレビューということがあるというふうに聞いておりますので、そういうことで、日本もある程度アジアの現実を踏まえた処方せんということを折に触れて意見を述べていく、こういうことであるべきだと考えております。


○玄葉委員 基本方向はいいのです。今ここで経済政策の議論をするつもりはありませんけれども、私からすれば、緩めるときに引き締めたり、金融政策を間違えたと思うのですね。そういうことを申し上げているのであって、さっき申し上げたような、独占を排除しなさい、それがいけませんと言っているわけじゃない、基本方向はいいのです。ただ、緩めるべきときに引き締めたり、つまり速いスピードでやり過ぎたり、そういうことが問題なのであって、私は、日本がきちっと適宜これからも、私全くこれまでやっていなかったとは言いません、やはりこれから外務大臣、インドネシアについては、日本が先頭に立って、IMFのプログラムに問題があったら注文をつけていこうということで政府の中でぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 時間がありますので、ありますというより問題ですので、次に移らせていただきたいと思います。

 全くテーマが変わりまして、周辺事態関連の問題でございます。

 先般、高野政府委員そして竹内政府委員と、周辺事態とは何なのか、いかなる地域での事態が適用になり得るのか、あるいは、この周辺事態法の一条と日米安保六条の極東並びに極東周辺との関連というのはどうなっているのかということで少し議論をさせていただいたんですが、議論になっていなかったように思っていまして、もう少し議論させていただきたいと思っています。

 まずお聞きしたいと思うのは、そうすると、周辺事態法の一条にある「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全」云々と書いてあるわけですけれども、この「我が国周辺の地域」というのは何を指すんでしょうか。まずそこからお聞かせをいただきたいと思います。


○高野政府委員  「我が国周辺の地域」ということでございますが、これは、我が国領域を除く地域で、周辺事態が生起し得る地域であるということでございます。


○玄葉委員 そうすると、次に、周辺事態法三条にこう書いてございます。日米安全保障条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に、いわば日本は後方地域支援を実施するということが第三条に書いてあるわけでございますけれども、ここで言う日米安保の目的の達成とは一体何なのか。そして、この場合は米軍の活動範囲は、日米安保の目的ということですから、日米安保条約の六条にある極東及び極東周辺、接続条項による極東周辺ですけれども、極東周辺というふうに考えてよろしいんでしょうか。その点についてお伺いをしたいと思います。


○高野政府委員 日米安保条約の目的という場合でございます。周辺事態との関係で申し上げますと、安保条約六条の目的ということになろうかと思います。

 その場合には、委員御指摘のように、六条に書いてございますところは、極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために我が国の施設・区域の使用を認められていく関係になっております。


○玄葉委員 そうすると、だんだんわかってきました。そうすると、前回たしか高野局長はこういうふうに答弁しておられた。つまり、周辺事態というのは事態の性質にかんがみた概念だ、極東というのは日米がいわば共通の関心を有する地域だ、性格を異にする概念だとおっしゃった上で、その上でおっしゃったのは、結局日本が主体的に行う活動、つまり、被災民の支援、NEOとか、非戦闘員の救出とか邦人救出とか、船舶検査とか、そういったものが入っているから極東という言葉を使えないといったニュアンスでたしか説明されたということで、そう考えると、結局、じゃ逆に言えば、対米支援についてはその活動範囲は明らかにこれは極東及び極東周辺というふうに考えてよろしいというふうに考えてしまうわけですが、その点はいかがでありましょう。


○高野政府委員 今幾つかの点の御指摘があったわけですが、一つは、なぜ、今回の新ガイドラインで前ガイドライン、前指針で使っていた極東という言葉をそのまま使わなかったかという観点から申し上げたのが、この前申し上げましたとおり、特に冷戦後のこういう国際情勢でより重要性を増しているという意味で、救援活動、避難民への対処、あるいは非戦闘員待避活動、あるいは船舶検査の問題等が出てきておるので、そのまま使うことは、いわゆる極東、安保条約の六条における米軍の活動に対する便宜供与でございますね、その観点だけではないので、新しいそういう状況の中で周辺事態という言葉でくくりましたと。こういうことは、ガイドラインの作成の過程における国会の審議でも申し上げているところです。

 それからもう一つは、今おっしゃいました観点から申しますと、周辺事態における活動というのは、日本がいわゆる後方地域支援する部分でございますね、米軍の活動に後方地域支援する活動がまず重要な項目としてあるわけですが、それは周辺事態において行われるわけでございます。

 それでは、じゃ周辺事態が生じたときに行うそのような活動はすべて極東ないし今おっしゃいました極東の周辺に当たるかどうかということでございますけれども、その点は、それを概念的に超えることはないということは申し上げられると思います。

 他方、それじゃ極東ないし極東の周辺で起きたことがすべて周辺事態に当たるかというと、それはまたそうではない。なぜならば、周辺事態というのは日本の平和と安全に重要な影響を与える場合でございますから、いわゆる安保条約で言う極東の範囲で起きたことが、ではすべて周辺事態に当たるかというと、それはそうはならないという関係になろうかと思います。


○玄葉委員 後者の部分はこの間も御答弁いただいたし、それはよくわかるんです。つまり、いわゆる極東と言われる地域の中で起きた事態が即すなわち周辺事態に当たるかというと、それはそうではない。それは確かに事態の性質に着目した概念ですから、そういうことだろうと思いますが、今おっしゃった前者、つまり、概念的に超えることはない、つまり日本が行う主体的な活動は別として、対米支援として行う活動については極東を概念的に超えることはない、そう考えてよろしいですか。


○高野政府委員 まず一点でございますが、いわゆる後方地域支援、前の指針において言われております便宜供与でございます、米軍の安保条約六条に基づく活動に対する支援、これのみならず、主体的活動と言われている先ほど御紹介申し上げましたような活動、これも周辺事態において行われる整理でございます、ガイドラインのもとにおいては。その意味においては、同じように周辺事態ではございますから、周辺事態というのは日本の平和と安全に重要な影響を与える事態でございますので、この間も申し上げましたが、定義上、それは極東の平和と安全にすなわちかかわる事態でございます。ですから、後方地域支援のみならず、周辺事態で行われる米軍の活動そのものは、そういうカテゴリーと申しますか概念のもとに整理されるべき問題ではないかというように考えているわけでございます。

 もう一つは、概念上超えることはないということとの関係でございますが、御存じのとおり、昭和三十五年の統一見解におきまして二つ項目がございまして、一つは極東という概念でございますが、極東は地理的に一概に画定し得る地域ではないけれども、強いて言えば、日米の両国が共通の関心を有する地域で、フィリッピン以北云々云々という定義がございます。

 それに加えて、第二段で、しかしそれに加えて、米軍が実際そのような目的のために活動する、行動する範囲は、必ずしも今申し上げた極東の地域に限定されるものではないということも統一見解にございます。

 その意味での、それを極東の周辺という概念で申し上げますれば、それは地理的に一概に画定できない地域でございます。そういう意味において、周辺事態もそれと同じようにこれは地理的概念ではない。その総合的な判断に基づいて、その時点時点において判断されるべき問題でございますから、それが生じたものは、極東と極東の周辺を超えることはないけれども、それと、じゃ、極東との比較、極東の周辺との比較をするということは難しい、困難である、こういうことを申し上げているわけでございます。


○玄葉委員 まだわからなくなってきましたね、逆に。

 私は今、最初お聞きしていて、主体的な活動と対米支援を分けるのだと思ったのですね。対米支援については、いわば極東における事態とある意味では言いかえられるのかなと思ったのですね。でも、今お話を聞いていると、やはり私、最初の疑問に戻るのですが、なぜ周辺における事態を極東における事態と言いかえることができないのか、あるいはそういう概念を使わなかったのが、どうしても私やはり納得できないところでありまして、もう一回答弁をしていただければと思います。もと聞いた答弁はいいですからね。


○竹内政府委員 ちょっと角度を変えて御説明させていただきます。

 安保条約の目的が、日本の安全とそれから極東の平和と安全の維持、こういうことでございますが、例えば安保条約の五条は、日本に対して武力攻撃があった場合のことを言っておりますが、現在のこの議論されております。辺事態といいますのは、日本に対する武力攻撃はまだない事態でございます。しかし日本の周辺において何らかの事態が起こっている、それが日本の平和と安全に重要な影響を及ぼしているということでございますから、日本が極東の一部であるということを考えますと、この周辺事態というのを概念的にとらえてみますと、極東に対する、平和と安全に対する重要な影響というものも及んでいるという事態でございます。

 ところが、先生の今の質問にお答えいたすことになると思いますけれども、その極東における事態、極東の平和と安全に対する重要な影響を与えている事態というものは、必ずしも日本の平和と安全に影響を与えているものではない。それは、極東における事態にいろいろな種類の事態がございますので、そこのところが明確にされると理解がしやすいかなと思うのでございます。

 つまり、まだ日本に対する武力攻撃はないけれども、しかし、ひょっとすると日本に対する武力攻撃が迫ってくるかもしらぬ。日本の平和と安全に対して重要な影響を及ぼす事態が生じている。これを、紛争ないしはその事態の拡大を防止して、抑止するということのために米軍が対応しているといたしますと、その米軍の対応というのは、安保条約の目的といたします極東の平和と安全並びに日本の平和と安全のために活動している。安保条約の目的のために活動している米軍である。そういう米軍に対して、この周辺事態安全確保法のもとで日本としては支援を行いたい、こういうことでございます。


○玄葉委員 一つ、きょうとにかくわかったことは、周辺というのは極東を概念的に超えることはない、これはおっしゃったですよね。ここはわかりました。またいずれ議論させていただきたいと思います。

 これはこの間も申し上げましたけれども、何でこだわるかと申し上げれば、国民の皆さん、わかるかなと思うのですよ。私だけなんでしょうか、わからないのは。

 いや、ちょっと申し上げさせてください。結局、旧ガイドラインだったらいいのですよ、いわば軍同士だから、軍と自衛隊だから。だけれども、今度はいわばトータルな枠組みを決めたんですね、ガイドラインで。そして、今回は当然、周辺事態法にもあるように、国民、民間あるいは自治体の皆さんにも協力を求めたり、協力を依頼したりするわけです。そういうことを考えると、国民の皆さんにわかりやすい説明が必要だということで私、こだわっているのです。

 じゃ、余り時間ないので、簡単できょうは結構です。


○高野政府委員 今の点でございますけれども、まず、二十年前の旧ガイドラインの際も、これは、いわゆる五条事態それから六条事態にかけて研究し、日本の国内の体制を整備するという基本的な命題があったわけです。五条事態については相当研究が進みましたけれども、六条事態は、残念ながらいろいろな事情で進んでこなかった。

 その場合の六条事態の典型的な活動、当時の活動というのは、米軍が、極東において何らかの事情、当然この地域で武力攻撃、武力紛争があったときに、それに参加してそれなりの活動をする、そのときに日本がどういうかかわり方をするか、つまりどういう便宜供与をするか、基地の提供、補給、支援、いろいろな形があると思うのです。現実にそれはこれまでも行われてきたわけでございます。ですから、軍対軍だけでなくて、これは……(玄葉委員「それはもういいです」と呼ぶ)はい。そういう意味で、トータルなということについて、今までと今回は違ったということとの関係で言えば、それはそうではないということをまず申し上げたいと思います。

 なぜ今度は極東という言葉を使わなかったかということは、先ほど来申し上げましたような新しい事態に、新しい国際情勢のもとに行われている、こういう今までは想定されなかったようなものが出てきているということと、それから、極東で起きた事態が直ちにすべて周辺事態であるということではないということは申し上げているわけでございますから、じゃ、極東においてすべてこういう支援をするかというと、そういうものではない。その二点が、なぜ周辺事態という整理をしたかということになろうかと思います。


○玄葉委員 これは続いて、またいっかやらせていただきたいと思います。

 きょうは、先日全く触れられなかった問題で、国会承認の問題なんです。つまり、内閣が策定する周辺事態への対応措置に関する基本計画を、周辺事態法では国会への報告にとどめているわけでありますけれども、これはなぜ報告にとどめたのか、その点についてお伺いをしたいと思います。


○小渕国務大臣 周辺事態への対応は、我が国全体で対応する性格のものであり、内閣が一体となり、内閣の責任において対応する体制をとることとしまして、周辺事態の対応にかかわる基本計画については、安全保障会議に諮り閣議決定を行った上で、その決定後、遅滞なく国会に御報告することといたしております。

 そこで、国会との関係につきましては、一、周辺事態への対応が武力行使を含むものでないこと、二、国民の権利義務に直接関係するものでないこと、三、迅速な決定を行う必要があること等を総合的に勘案いたしますれば、周辺事態への政府としての対応は、防衛出動やPKOの凍結業務の実施とは異なるものでありまして、今回の法案における基本計画について国会に遅滞なく御報告し、議論の対象としていただくことを妥当と考えております。

 もとより、我が国周辺の地域における武力紛争が生起している場合には、国会においてさまざまな議論が行われていることが当然予想され、また、基本計画につき御報告することにより、さらに国会で議論も深まるものと考えますので、政府としては、対応措置の実施に当たりましても、国会の意思が十分反映されるものと考えておりまして、そうした観点をすべて勘案いたしまして、政府といたしましては国会に事後、御報告を申し上げるということで対処いたしたい、こういうことで現在おるところでございます。


○玄葉委員 対応措置にかかわる基本計画に、国会への報告だけで私は国会の意思が伝わるとはとても思えないわけでございます。

 先ほど、権利義務に直接関係ないというお話でありますけれども、私は、今回の周辺事態法の場合は、当然、空港を使えば旅客とか貨物に影響が出るわけでありますし、また、負傷者を病院に収容すればお医者さんとか看護婦さんにいろいろな影響が出て、特に、長期化した場合はまさに直接かかわってくるのだろうなというふうに思います。

 そういう意味で、私は、これは今から意見を申し上げたいとは実は思っていないのですけれども、こういう立場があるという意味で、一般論として申し上げれば、自治体とか民間の方々に対して協力を求めやすくするためにも、あるいは協力をしていただける環境をつくるためにも、まさに国民の代表者である国会の承認というものが、これはもちろん対象あるいは方法、例えば事後承認なのか事前承認なのか、あるいは対象も、周辺事態の認定そのものなのか、今申し上げたような基本計画なのか、あるいは基本計画の一部なのか全部なのか、自衛隊の外の活動なのか、それはいろいろありますけれども、より国会の関与を強める方がよろしいのかなという立場というのが必ず出てくると思いますけれども、その点についてはいかがお考えになられますか。


○高野政府委員 先ほど大臣の方からも御答弁があったわけでございますけれども、今回の周辺事態安全確保法案の形というものは、基本的に安全保障会議を経て閣議決定を図る、そこにおいて具体的な我が国としての協力の内容を決定するということでございます。

 その際に、私どもとしてやはり考えなければならないのは、これは迅速な決定を行う必要があるということが一つ。それから、これへの対応は、我が国自体が武力行使を行うという性格のものではないということ等がやはり重要な観点かと思われます。

 国民の権利義務に直接関係するかどうかということとの関係で申し上げますと、今回は強制的に民間ないし自治体の御協力を得るという形には、今回の法律はなっていないという点は確認させていただきたいと思っております。


○玄葉委員 これはもう継続的に長く議論しなければいけない問題だと思っています。
 あと五分ですから、ちょっと一つだけ、ある論文というか小論を紹介して、それに対する御意見をお伺いして、このテーマ、本当はずっと続くのですが、終わらせていただきたいと思うのです。

 マイケル・グリーンさんていらっしゃいますね。これは多分、多分というよりアメリカの対日政策にかなり影響を持っている人の一人だと思いますけれども、こういうことを言っています。やはりガイドラインに対する国民の真の理解というのを得るためにも、国会の関与というのが極めて大切だというようなことを言って、今日本の場合は恐らくこうなるだろうということを、これは「新ガイドライン法整備 やっと「一歩」を踏み出した」という論文に書いてあります。

 それは、今外務大臣がおっしゃったようなことを言いながら、アメリカの戦争権限法なんかを参考にしながら、日本の国会も、いかにして周辺事態が認定されたかについて、最大人十日間かけて政府に対し当該情報の提供を求めて、その判断基準、支援の規模、態様の妥当性、事態の推移などについて国会の場で詳細に審議をすべきである、仮に対米支援活動の妥当性につき一定期間内に国会の承認が得られなければ、つまり政府が説得に失敗をすれば後方支援活動は中止されなければならない、これが民主的統制というものだろうということを実は言っているわけであります。この場合は、これは事後承認ですね。

 さっき局長おっしゃったように、迅速性ということにかんがみて事後承認ということを求めているわけでありますけれども、こういった意見に対しては、どういうふうにお考えになっておられますか。


○高野政府委員 現在のこの法案に関する考え方は、先ほど来申し上げているとおりでございます。

 戦争権限法との関係で申し上げますと、これはあくまで軍が武力行動を行うあるいは武力行動に直接巻き込まれるという事態との関係において、この権限法がどういう適用関係になるかということでございまして、今回私どもが御提出申し上げているような意味での自衛隊の活動というような性格の活動、それが戦争権限法との関係では直接の適用があるというふうには私ども理解はしておらないわけでございます。


○玄葉委員 いや、それはもう当たり前でありまして、もう一つだけ、あと一分時間がありますからせっかくだから聞いておきたいと思いますが、さっきPKOとのバランス論、比較論をおっしゃった。PKOと比較して、今回は国会に対して承認を求めなくてもいいというような話でありましたけれども、本当にPKOとのバランス論、比較考量してそういうふうにお考えになられるのですか。その根拠は何でしょう。


○高野政府委員 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律、この関係で、PKO凍結業務は国会の事前承認になっている、そのとおりでございますが、私どもの考え方では、先ほど申し上げましたように、PKO業務そのものは、このような意味での迅速性、迅速な決定という観点から申し上げますと、私ども今用意しております。辺事態安全確保法で求められている我が国の協力内容ということの関係においては、性格の異なるものではないかというふうに考えております。


○玄葉委員 もちろん性格は異なるのは当たり前でありますけれども、もともとPKOは、確かに政府も最初は国会承認を求めないということを言っていて、実はそのときは、我が国にとっての重大な事態の対応ではないというのが大きな一つの理由だったわけですけれども、まさに周辺事態というのは、我が国の平和と安全に重大な影響を与えるから活動するわけですよね。そういう意味で、本当にそれがバランス的に正しいのかどうか、これからいろいろ継続的に議論させていただきたい。きょうは提起だけ、提起というかこういう立場、それぞれ出てくるんじゃないかというようなことを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。