| 国務大臣の発言(平成十三年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑 ○議長(綿貫民輔君) ただいまの地方財政計画についての発言及び三法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。玄葉光一郎君。 〔玄葉光一郎君登壇〕 ○玄葉光一郎君 民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました三法案並びに喫緊の課題について質問をさせていただきます。 まず、本題の三法案であります。 この三法案の根本的な命題は、現在の仕組みで地方財政は持続可能、すなわち、サステーナブルなのかということではないかと思います。 国民に身近な行政サービスを提供している地方の財政は年々悪化し、来年度末には百八十八兆円という巨額の借金残高に達するとされています。平成四年度末には借金残高は八十兆円でありましたから、この十年間で百兆円もふえたことになります。さらに、地方の財源不足を埋めるために国が重ねてきた借金の残高、いわゆる地方交付税特別会計の借り入れも四十二兆五千億円に達します。 なぜ、ここまで地方の財政は悪化したのでしょうか。 まず、国が地方に要請した景気対策に大きな原因があることは明らかであります。そして、より本質的には、地方財政の仕組みに原因があると考えます。 国が地方に公共事業をやらせ、そのための地方債を発行させる。しかし、それらは十分な経済波及効果をもたらさず、税収増にはつながらない。さらに、地方交付税特会では、自治体が発行した地方債の元金や利子まで負担しますから、自治体の一部に、国が肩がわりしてくれるのだから借金しなければ損だという錯覚さえも与えています。 本法案では、地方の財源不足を、従来の交付税特会にかえて、国負担分は一般会計より繰り入れ、そして、地方負担分については個別自治体に赤字地方債を発行させ、国、地方の財政責任を明確化するとしています。 ところが、この赤字地方債について、地方交付税により元利償還を全額補てんするということであります。これでは、国の特別会計で行っていた借金を、見かけ上は自治体、実体的には国の赤字国債につけかえるだけであって、何ら根本的な解決にはなっておりません。このような制度改正をもって一体何を期待しているのか、片山総務大臣に伺います。 さらに、宮澤財務大臣に伺います。 国の政策意図のために地方財源が使われる現状をどう認識していますか。確かに、現在の経済対策の中心である公共事業については、そのおよそ八割が地方の歳出ですから、地方の協力なしの経済対策は成り立たない側面があるのでしょうが、今や節度を大きく超えていると考えますが、いかがでしょうか。宮澤財務大臣の個人的見解を伺います。 結局、地方財政を持続可能にするためには、地方分権を通してそれを実現するしかないのではないでしょうか。それも、地方分権一括法で行った単なる事務権限の分権にとどまらず、事業と財源の分権によってであります。 民主党は、第一段階の改革として、国と地方の役割分担を見直した上で、弊害の多い補助金を抜本的に改め、これを透明な基準で自治体に配分する一括交付金とすることを提唱しています。例えば、一号線から五十八号線以外の国道、農業農村整備事業、都市計画事業などに関する補助金は一括化して自治体に交付し、その後の事業選択を自治体にゆだねたいと考えています。そして、以上のことを行いつつ、国による義務づけや基準の設定を見直し、基準財政需要額を縮小するなどの交付税改革を行えばよいと私は考えます。 地方交付税に頼る自治体にとって、現在の交付税制度にメスを入れることの影響は小さくないと思われます。しかし、交付税改革と同時に、補助金や負担金の一括交付金化が行われれば、地方自治体は真にその地域に必要な事業をみずからの発意と責任で行えるようになることで、交付税改革による影響を相殺できるばかりか、むしろ、地域住民の行政サービスに対する満足度や厚生水準は高まるのではないでしょうか。そして、補助金をめぐる利益誘導政治もなくなり、さらに、交付税改革は地方の財政の持続可能性を高めてくれるはずであります。(拍手) 次に、第二段階として、国と地方の税収比率が一対一になるよう、国税の一定割合を自治体の自主財源へと移譲します。この場合、適切な財政調整は行いますが、自治体の自主財源を増加させることにより、住民の受益と負担の関係をより明確にさせます。 さらに、第一段階、第二段階を通して、市町村合併を進めつつ、地域コミュニティー機能の充実を図り、その後、いわゆる道州制の導入を図るというのが民主党の基本的な考え方であります。 片山総務大臣に、地方の財政を持続可能にするための道筋について、お考えを伺いたいと思います。 さて、橋本行革担当大臣に伺います。 地方分権推進委員会の公表された資料を見ると、首相在任当時、分権推進委員会は、公共事業等の国庫補助の見直しについて、従前の政府の姿勢からすれば、かなり踏み込んだ提言をなさろうとしていたことがわかります。しかし、関係省庁と自民党の関係部会の抵抗の末、それらは見事に骨抜きにされ、五次勧告が提出されるに至りました。橋本首相退任後、三カ月後のことであります。橋本行革担当大臣は、この一連の経過についてどのような感想をお持ちでしょうか。 また、ことしの一月一日より中央省庁の再編が行われました。省庁の省という字には省くという意が込められておりますけれども、果たして、中央省庁の再編によって何が省かれたのでしょうか。中央省庁の再編が中途半端なものになっているのは、先ほど言及した、事業と財源の分権抜きの再編だからではないでしょうか。本来、中央省庁の再編は、地方分権と結びつけて初めて効果が上がるものなのではないでしょうか。橋本行革担当大臣のお考えを伺いたいと思います。 片山総務大臣に伺います。 国と地方の税源配分の見直しについて、政府は、少なくとも経済成長率が二%以上になることが前提という立場を堅持しています。経済成長率を持ち出すのは、国税の減収を前提にしているからだと思われます。 しかし、国税の減収分について、改革された交付税や改革された補助金、負担金で調整することは可能であると考えます。すなわち、景気回復と切り離して国、地方の税源配分の見直しを行うべきではないでしょうか。地方への税源移譲についてのお考えをお聞かせください。 また、昨年、任期を一年延長された地方分権推進委員会は、本年七月に任期が終了する予定であります。現在の分権推進委員会の任期が終了した後は、国、地方の税財源について抜本的に検討すると同時に、国、地方の役割分担の見直し、行政のスリム化を検討する専門の組織を設け、全省庁にわたる横断的な見直しを可能とするような権限を与えるなど、思い切った委員会の設置が必要ではないでしょうか。片山総務大臣のお考えを伺いたいと思います。 さらに、公明党の神崎代表は、一昨年の代表質問において、地方消費税の二%への拡大を提唱されていましたので、国と地方の税源配分の見直しについての坂口厚生労働大臣のお考えもお聞かせいただきたいと思います。 最後に、喫緊の課題について伺います。 ローマ帝国末期の政策は、パンとサーカスの政策と呼ばれています。すなわち、御機嫌取りの政治が行われた結果、人々の自立心やプライドやモラルが失われ、ローマ帝国の衰退は加速されたと言われています。今、求められているのは、これまで申し上げてきたような国と地方の関係、財政、経済などの構造改革に真正面から立ち向かう勇気と覚悟であり、歴史の評価にたえ得る政策を断行するという気概と実行力であります。 森首相の政治は、難しい問題を避け、御機嫌取りに終始する、にもかかわらず、国民の御機嫌を損ねてしまう政治であります。(拍手)国民からの支持率一けた台というのは、もはや絶望的です。恐らくは、この議場の中の支持率も一けた台なのではないかと思います。森首相が一刻も早く退陣すべきは当然のことであります。 今や国民の関心は、次の首相がだれになるかということであります。そこで重要なのは、次の選択の方法であります。 我が国の政治体制である議院内閣制は、言うまでもなく、国会で多数を占めた政党が党首を議会で首相に指名し、内閣を構成し、選挙で国民に訴えたみずからの政策を実行するという仕組みであります。 したがって、政策の行き詰まりや失政等によって首相が辞職した場合には、解散により、国民の前に従来の政策にかわる新しい政策を提示し、野党と政策論争を展開し、国民の審判を受けるか、または、たとえ少数であっても野党に政権を渡すのが本来のあるべき姿ではないでしょうか。ましてや、小選挙区制は、国民による政権選択の機会を提供することが大眼目の一つであったはずであります。 首相が交代をするならば、政権すなわち首相と政策は、国民に選挙を通して選んでもらう。このことをルール化することは、議院内閣制が十分に機能するための極めて大切な要件だと思いますが、どうお考えになられるか、橋本行革担当大臣、坂口厚生労働大臣に一般論としてお答えをいただきたいと思います。 以上で私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣片山虎之助君登壇〕 ○国務大臣(片山虎之助君) 平成十三年度の地方財政対策及び制度改正の趣旨についてのお尋ねがありました。 従来の特別会計借り入れ方式については、交付税特会の借入残高が既に平成十二年度末で三十八兆円となり、法定率分、いわば実力の三年分もの借金を抱えている状況下で、毎年度数兆円ずつ残高がふえていく方式を継続していくことは適当でないこと、また、財投改革等に伴い、多額の借入金については資金調達面からも制約が高まっていくこと、二つ目は、特別会計借り入れ方式は、いわば地方団体の共同の借金であるが、個々の地方団体には交付税という形で交付されるために、地方団体や住民に借金の実態がわかりにくいこと、さらには、国の予算上においても、特会借り入れは国の財政実態をわかりにくくしていること等の問題があるところであります。 このため、今回は、国負担分は一般会計からの繰り入れ、地方負担分は個々の団体の特例地方債発行という方式により財源不足を補てんすることとしたものであります。これにより、国と地方の責任分担の明確化、財政の透明化等が図られるものと考えております。 なお、この方式をとった結果、地方団体の財政運営に支障が生じてはならないので、特例地方債の元利償還金相当額については、その全額を後年度の地方交付税の基準財政需要額に算入することとしたものであります。 地方財政を持続可能とする道筋についてのお尋ねがありました。 現在の地方財政は、大幅な財源不足が続くとともに、借入金が急増し、極めて厳しい状況であります。地方分権を支える財政基盤を確立するためにも、地方財政の健全化は重要な課題であると認識しております。 平成十三年度の地方財政計画の策定に当たっても、経費全般について徹底した節減合理化を推進することを基本とし、地方一般歳出は対前年度比〇・六%減とするなど、一歩でも地方財政の健全化に向けての取り組みを図ったところであります。 当面の財政運営としては、地方財政の立て直しのためにも、景気を自律的回復軌道に乗せることが必要と考えております。これにより、地方税等の地方一般財源の収入増を図るとともに、国、地方を通じる行財政の簡素効率化等を一層推進することにより、歳入歳出ギャップを縮小していくことが重要であります。 今後、景気の状況を見きわめつつ、地方税の充実を基本とした国と地方の税財源配分の見直しなど、地方財政の諸課題について幅広くしっかりとした検討を行い、財政構造改革の必要性等をも十分踏まえつつ、地方団体がより自主的、自立的で持続可能な行財政運営を行えるよう、財政基盤の充実強化を図ってまいる所存であります。 次に、地方への税源移譲についてのお尋ねであります。 地方分権の進展に応じ、地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営を行えるようにするためには、地方における歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、自主財源である地方税を充実し、国庫補助負担金など、国からの財源への依存度をできるだけ少なくすることが必要であります。 今後、我が国経済を自律的回復軌道に乗せつつ、国、地方を通じる財政構造改革の論議の一環として、税源移譲なども含め、国と地方の税財源配分のあり方について幅広く検討を行ってまいる所存であります。 最後に地方分権推進委員会期限切れ後の地方分権推進体制についてのお尋ねがありました。 現在、委員会においては、地方分権推進計画の実施状況等について監視活動を行っていただくとともに、地方税財源の充実確保策について精力的に御審議をいただいているところであります。 お尋ねの、委員会期限切れ後の地方分権推進体制のあり方については、どのような体制が望ましいかは、地方分権推進委員会における今後の審議状況を踏まえつつ、関係省庁とも十分協議の上、検討してまいる所存でございます。御意見は参考にさせていただきます。 以上であります。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕 ○国務大臣(宮澤喜一君) 景気対策におきまして、公共事業の追加を行う際には、各地域の要望等を踏まえた上で予算措置を行っておるつもりであります。また、地方負担に対して起債措置などを講じる等々、地方の財政事情もできるだけ配慮するよう努力をいたしてまいっておるつもりでございますが、しかし、実際問題として、地方財政は、近年の我が国経済の厳しい状況によりまして税収が伸び悩んでおりますし、全体経済の低迷、そうして、そのために景気対策を公共事業としていたしますと、その追加のための負担、あるいは特別減税等々がございますから、地方財政は結果として借入金が急増をいたしておりまして、おっしゃいますように極めて厳しい状況にありますことは、私どもも十分認識をいたしております。 このような状況にかんがみまして、平成十三年度地方財政対策におきましては、新しく、地方に特例地方債を発行してもらう、また国は、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入額を、これは国債を発行いたしましたが、そのために増額する等の制度改正を行いました。国、地方を通ずる財政のさらなる健全化と透明化に取り組みますとともに、地方財政の運営に支障を生ずることのないよう、所要の地方交付税総額を確保することとしております。しかし、依然として地方財政は非常な困難な状況にありますことは否定することができません。 この問題でございますが、しょせんは国と地方を通じる行財政の再配分と申しますか、具体的に、国庫補助金、負担金あるいは地方交付税等々ございますが、そういう行財政全体の再配分、再編成を行わなければ、基本的に解決をすることは難しいのではないかと考えておりまして、かねて、財政改革を行いますときの一番大きな、社会保障と並んで一つの問題はこの問題であると認識しておりますので、その際に、正面から取り組まなければならないと思っております。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕 ○国務大臣(橋本龍太郎君) 玄葉議員にお答えを申し上げます。 私には三点の御質問がありました。 まず第一に、地方分権推進委員会の第五次勧告についてのお尋ねがございました。 この勧告におきまして、直轄公共事業などの基準の明確化と範囲の見直しのほかに、公共事業の補助事業について国が箇所づけをしない、これを基本として、具体の事業箇所、内容について地方公共団体が主体的に定められるような仕組みとして、統合補助金を創設することなどが勧告されております。この勧告を最大限尊重した第二次地方分権推進計画に基づきまして、平成十二年度から統合補助金制度が初めて導入されるなど、地方分権推進委員会の第五次勧告は一定の成果を上げていると私は考えます。 また、中央省庁改革が地方分権と結びついて実施されることによって初めて効果が上がるのではないかという御指摘をいただきました。 この点は、議員のお考えと私も基本的に異なるものではありません。そして、今回の中央省庁等改革を進めるに当たりまして、国と地方公共団体の役割分担のあり方に即した地方分権を推進することはその柱の一つとなっており、累次にわたる地方分権推進委員会の勧告を最大限尊重して、機関委任事務制度の廃止や統合補助金の創設など、総合的かつ計画的に地方分権の推進に取り組んできました。 今後におきましても、中央省庁等改革の成果をより確実なものとするためにも、国と地方との関係を見直していく必要は続きますし、地方公共団体の自主性や自立性を高める観点から、さらなる地方分権の推進に取り組んでいくことが必要である、この点は議員の御指摘のとおりだと私も思います。 最後に、総理が退陣をされた場合という、一般論でという御質問をいただきました。 しかし、現職の閣僚として、私は今みずからに与えられた責務を全力を尽くして果たす以外のお答えはございません。(拍手) 〔国務大臣坂口力君登壇〕 ○国務大臣(坂口力君) 玄葉議員にお答えを申し上げたいと思いますが、二問ちょうだいをいたしました。 一つは、国と地方との財源配分の問題でございます。 神崎代表の発言も紹介をされましたが、仕事とそれに必要な財源をセットにして地方に回すべきだという趣旨だというふうに思います。その趣旨には私も賛成でございます。 地方分権も軌道に乗りつつあります昨今でありますから、税制全体に及ぶ問題でありまして、次の税制改革では大きな議論になるものと考えます。そのときを待ちたいと思います。 もう一点の、内閣退陣後の考え方についてのお尋ねでございましたが、予算委員会でも御答弁を申し上げましたとおり、私は森総理に任命をされました一閣僚でございます。森総理を支え、最後の最後まで国家国民のために尽くすのが私に課せられた課題でございます。退陣後のことなど考えたこともございませんし、また、そのゆとりもございません。したがって、この問題にお答えすることはできません。(拍手) |